公演情報 2018.09.27

11月9日開幕『The Silver Tassie 銀杯』制作発表が行われました

2018年9月26日、『The Silver Tassie 銀杯』の制作発表を行いました。
演出を務める森新太郎さん、出演の中山優馬さん、矢田悠祐さん、横田栄司さん、浦浜アリサさん、安田聖愛さん、三田和代さんによるコメントをお届けします。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA


【ご登壇者コメント】

▼森新太郎さん(演出)
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

私がショーン・オケイシーのこの作品を知ったのは2年前。日本ではあまり知られていませんが、アイルランドではものすごく有名な作家です。翻訳・訳詞のフジノサツコ氏に勧められ粗訳を読みましたが、非常にパワーがある作品で圧倒されました。
まずは人間の感情が剥き出しなんです。そして痛烈な皮肉に満ちている。反戦劇と銘打っていますが、普通の反戦劇とは違います。戦場の悲惨な場面もありますが、多く描かれているのが戦争から遠く離れた日常生活。そこに生きる人びとは、戦争を盛り上げるんですが、戦争が終わったら終わったで次の時代も頑張ろうと盛り上がる。戦争に行って傷ついた人びとは帰ってきても居場所がなく、深い疎外感を抱くんです。中山優馬君演じるハリー・ヒーガン役の孤独がまさにそれです。我々の日常にも人を叩きのめす、支配する、排除するという状況があふれていますが、この野蛮な状況が、戦争の野蛮な状況と無関係ではなく地続きであるということをオケイシーは描いている。戦争反対と誇らしげに言ったところで、じゃあ自分を見てみろよという痛烈なメッセージが込められた、実に挑発的な作品だと僕は思いました。今こそやるべきだと。そこで僕は迷わず世田谷パブリックシアターさんに提案しました。公共劇場の意義をこういう作品で示せないと日本の演劇は痩せ細ってしまうのではないかと。そういう経緯を経て、90年前に書かれたオケイシーの作品を復活させることができました。

この作品は4幕構成です。2幕目に戦場のシーンがあるのですが、これがリアリズムではなくて、観念的、象徴主義的な世界。すべてのキャラクターが戯画化されて日常とは違う悪夢の世界のよう。当時はもちろん、今日やるにしても演出家の腕が問われるところかと思います。

僕は文化庁の在外研修で東南アジアに行き先日帰ってきたばかりです。その7カ月間で見た東南アジアの伝統演劇、現代演劇が僕の中で熟成し始め、今回の演出プランにもつながっています。これまで取り組んできたものを発展させていく部分もありますが、皆さんが今まで見たこともないような芝居の世界がつくれたらいいなと思います。また1、3、4幕が日常的と言いつつも、単にリアリズムでつくるわけではなく、戦場と日常がいかに地続きかを見せられるような舞台装置を考えています。どうぞ楽しみにしていてください。

▼中山優馬さん(ハリー・ヒーガン役)
OLYMPUS DIGITAL CAMERA


戦争から負傷して帰還し、車椅子生活を強いられる青年ハリー・ヒーガンを演じます。若さや、エネルギーにあふれる役で、大役をいただいたと日々実感しています。戦争というものにぶつかり、心も性格もネガティブな方に向かってしまう彼ですが、一方で口が達者で、洒落の効いた皮肉も言いますし、ネガティブな発言もポジティブな発言も魅力の一つです。また今回ウクレレを弾きながらの歌にも挑戦させていただきます。稽古が始まって5日経ちましたが、稽古場にもすごい緊張感があふれています。背筋が伸びるような感覚です。でもその緊張感は作品にも通じる緊張感だと思いますので、そういうところも楽しみながら頑張っていきたいです。


▼矢田悠祐さん(バーニー・バグナル役)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
バーニーはハリーと戦地で信頼関係を育む戦友ですが、戦争から帰ってきてハリーが半身不随になるなど状況が変わり、バーニーはハリーが一番やってほしくないこと、つまり彼の恋人を奪ってしまう。彼から見ればバーニーは嫌な奴でしょうが、バーニーにとっては幸せなこと。「みんなにとっての喜びは自分にとっての悲しみ」というせりふもありますが、そんな表裏が描かれるのがこの作品の面白さだと思います。演出の森さんには、血反吐を吐くくらいの芝居をやらせたいと言われましたので、身を委ねてめちゃくちゃにしていただきたいと思います。真摯に向き合って最高のお芝居にしていきたいです。


▼横田栄司さん(テディ・フォーラン役)
OLYMPUS DIGITAL CAMERA


稽古が始まって、相当なエネルギーを要する芝居だと感じています。言葉の分量、怒り、喜び、悲しみなどの感情の分量がものすごいんです。そして演出の森さんに驚かされたのは、これまでの作品を拝見して思っていたことでもありますが、この戯曲をどれだけ時間をかけて勉強されてきたのか、どれだけ読み込んできたのかが伝わってきて、演出席からの言葉一つ一つに重みと説得力がある。ほかの俳優さんへの言葉も聞き逃せないんです。僕も森さんとともに作品に誠実でありたいと思いますし、森さんが想定していなかった驚きも発見して、作品を高みに持っていきたいと思います。


▼浦浜アリサさん(スージー・モニカン役)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

スージーは敬虔なクリスチャンで信仰心が深いあまり、周囲にうざったく思われるくらいエネルギッシュな女性。彼女もまた戦争の前後で内面がガラッと変わってしまうのですが、根っこにある深い愛、人に対する優しさなどは節々に感じるので、それを一つずつ丁寧に表現していきたいと思います。私はモデルの仕事をしてきたので、台詞で感情を表すことの難しさに直面しています。そんな私を起用した森さんのギャンブラー精神には驚きますが、どんな仕事でも求められたら100パーセント以上で返していくというのが私のポリシー。いい意味で期待を裏切りたいと思います。



▼安田聖愛さん(ジェシー・テイト役)
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

最初はハリーの恋人として登場するのですが、一言で表すと、後にひどい女になります(笑)。でも自分に対してとても正直な女の子なのかなと思っていますので、気持ちいいくらいひどい女を演じられれば。オーディションのときから感じていたことですが、演出の森さんの言葉はまっすぐ飛んで来るんです。ものすごくエネルギーがある方ですし、しっかり向き合ってもくださいます。これからの稽古の中で、そのエネルギーを吸い取れるくらい私自身もエネルギーを出して、森さんと向き合っていきたいと思います。


▼三田和代さん(ヒーガン夫人役)
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
私はハリーの母親役を演じます。ずっと森新太郎さんとやりたいと思って、演出作品のおっかけをしていました。ですからお話をいただいて内容も聞かずに引き受けました。反戦劇だと聞いて暗くて重い芝居なのかと思っていたら、底抜けに明るいんです。ものすごく陽気で、エネルギッシュで、笑いに満ちあふれている。私が演じるのもすごくエネルギッシュな普通のおばさん。実は普通をやるのは本当に難しいんです。これから大変な作業をしていかなければいけないんですけど、この役がもし手に入ったら、どんな役が来ても大丈夫。そういう大きなトライをこの歳になってできることがとてもラッキーだと感じています。


『The Silver Tassie 銀杯』

【日程】 2018/11/9(金) ~ 2018/11/25(日)
【会場】 世田谷パブリックシアター
【作】ショーン・オケイシー
【翻訳・訳詞】フジノサツコ
【演出】森新太郎
【出演】中山優馬 矢田悠祐 横田栄司 
   浦浜アリサ 安田聖愛 土屋佑壱   
   山本亨 青山勝 長野里美 三田和代 ほか

公演ページはこちら